診療案内
精密根管治療(歯内療法)

「根管治療」とは

根管治療とは
「根管治療」とは、神経を取る処置など、歯の根っこの内部の治療のことですが、歯科治療の中でも非常に難しい治療として知られています。
当院では、CTスキャンやマイクロスコープをはじめとした高度な設備、材料を使用し、じっくりと時間をかけた「精密根管治療」により、治療の成功率を高め、歯の寿命をできるだけ延ばせるよう、力を尽くしています。

根管治療はなぜ大事?

歯髄を取り除くために根管治療が必要になる!
むし歯が深く進行して神経(歯髄)まで達し、細菌感染を起こすと、「歯髄炎」を引き起こし、「お湯にしみる」、「ズキズキ痛い」、「噛むと痛い」といった症状が現れます。
歯の「神経」と呼ばれる歯髄はとても弱い組織で、一度歯髄に細菌が感染したら、治療で残すのは成人の場合、極めて難しく、通常は歯髄を取り除く「抜髄根管治療」と呼ばれる根管治療が必要になります。
根管治療は家にたとえるなら土台に当たります。土台がいい加減だと、いくら高級な住宅をその上に建てても後々になってトラブルが起こり、台無しになってしまうように、根管治療も歯を残すとても大事な治療となってきます。

保険治療の現状

口腔内診査

保険治療の場合の多くに起こってくること

根管治療は、歯を残すために大事な治療ですが、歯根の内部は非常に複雑で治療しにくいことから、通常の保険治療ではあまり成功率が高くなく、再治療、またその繰り返しで最終的に抜歯になることが珍しくありません。
実は、一般的に行われている健康保険での治療だと、治療法や材料に制限があるのに加え、あまり治療に手間隙をかけることができないため、十分な治療ができないのが現状です。
実際に、保険で根の治療を行ってからしばらくすると、レントゲンで多くの歯に根尖病巣(歯根の周囲に膿が溜まる状態)ができているのが確認されます。
ですが、このような状態になっても、若い時にはそのまま眠ったような慢性化した状態となり、痛みを出さないことが多く、50歳以降くらいになって疲労や病気などによって免疫力が落ちると、急性化して歯が痛み出す、というようなことが起こります。
この状態は「急性根尖性歯周炎」と呼ばれ、痛くて噛むことができなくなってしまいます。
抜髄根管治療を如何に精密に正しく行う事の重要性
どうしても抜髄をしなければならない時に、一番重要な事は、複雑な歯の神経(根管)の中を極力取り残しの無いように神経を除去し、その空洞(根管)を確実に密閉、緊密に根充をするかがその後の歯の寿命を大きく左右する事です。
家に例えれば、土台となる部分で、いくら立派な家を建てても、その土台や土地が安定的に長期に渡り堅固でなくてな家は長期には持ちません。
歯の根の治療も同じことが言えます。
抜髄するときに如何に時間を掛けて丁寧に、高い技術で感染歯髄を極力取り除き、根充し易いように根管形成、根充をするかがとても重要な事なのです。ところが、日本の健康保険ではその報酬が余りにも低くとても理想とはかけ離れた治療しか出来ない現実があります。

根管治療はなぜ難しいといわれるのか?

根管治療が難しいといわれる理由1
歯の中の神経(歯髄)は、ちょうど冬のイチョウの木の状態の形に似ています。
太い幹が歯の根の先に行くにしたがって細くなり、太い枝や細い枝など、多くの枝を出し、複雑な形をしています。
根管形成
根管治療では、その部分を、針のような「根管形成器具」を用いて清掃し、根充材と呼ばれるお薬を緊密に詰められるように形を整えていきます。これを根管形成といいます。
この際、根管内の神経を取り残さず、枝分かれした複雑な根管の先まで緊密に無菌的に操作して、消毒してから根充材を緊密に詰めること(根管充填)が、将来的に歯根の先端に病巣を作らないようにするためにとても重要になってきます。
根管の空洞
歯の中の根管の空洞は、イラストのように、大まかに見てもとても複雑で弯曲や分岐があるため、この部分をすみずみまで治療するのは、とても難しく、完璧にやろうとすると、とても忍耐強い根気と多くの手間が必要になってきます。
しかし、手間をかけないと、感染源が歯の中に残ったままとなって感染根管となり、細菌が歯の根の先に到達して根尖病巣を作り、「慢性根尖性歯周炎」という病気になってしまいます。
根管治療が難しいといわれる理由2
根尖病巣は時にだんだん大きく、そして治りにくくなり、またきちんと治療がなされずに時間が経つと、根管の中がカルシウムで埋まって再治療が不可能となり、抜歯しなくてはならなくなることもあります。
また、神経の取り残しや根管内の神経が壊死して感染すると、歯の根の先にまで感染が及び、大きく骨を溶かして嚢胞となり(歯根嚢胞)、嚢胞除去手術や抜歯が必要になることもあります。
再治療を重ねない為に最初の治療が勝負!
このように、根管治療は歯を残す、長期保存するためには重要な処置なのですが、再治療を重ねるうちに歯の条件が悪くなり、治せなくなる確率が高くなっていくので、いかに最初の根管治療である抜髄をしっかりと行うかが重要になってきます。
再治療が不可能な場合には、やむをえず抜歯となりインプラントやブリッジ、入れ歯にせざるを得なくなります。
感染根管治療

抜髄処置での失敗、また、時にはむし歯によって歯の神経が壊死して根管が感染することがあります。
根管内の感染はやがて歯の根の先にまで広がり、根の先に膿が溜まって暴れ出し、歯が痛くなる、噛むと痛い、根の先の部分が腫れた、温まると痛い、などの症状が現れます。この状態を根尖性歯周炎といいます。
この状態になると、根管内部の汚染物質(死んだ神経、汚染された根管壁の象牙質、古い根充材など)をきれいに取り除き、清掃、超音波による洗浄、消毒を行い、新たに根充材を詰める精密根管治療が必要になります。
しかし、前述したように、根管の内部は大変複雑な形をしており、すでに感染が進んだ根管の内部をすみずみまで消毒するのは、感染の程度が少ない抜髄根管治療の場合よりも更に大変な根気と治療時間がかかります。

また、再治療ができる状態なら良いのですが、抜髄根管治療後に長い時間が経つと、根管内がカルシウムなどにより塞がっている、根尖病巣が大きくなりすぎてしまっている、金属の大きな土台が入っていて取り除けない、などの理由で根管治療自体ができないことも少なくありません。

このようなケースで根管治療が不可能な場合には、根尖切除療法(保険)か高度な外科的歯内療法(自費)、もしくは抜歯となることもあります。

根尖病巣とは
汚染された神経の取り残しや、神経の壊死により、根管が感染すると、歯の根の先に膿が溜まって根尖病巣ができます。レントゲンで見ると根尖部に黒い影として映ります。この根尖病巣がある程度大きくなると(目安としては8mm以上)とても治癒が難しくなります。

日本の保険治療での根管治療の再根管治療率は、諸外国と比べると、実はとても高いという結果が出ています。

根管治療(抜髄根管治療や感染根管治療)は、歯を残すには不可欠な治療ですが、ほとんどが保険治療で行われている日本の根管治療というのは、安価である一方、さまざまな保険の縛りがあるため、あまり良い結果を出せていない、というのが現状です。

日本の健康保険診療の根の治療の現状と諸外国との比較

神経を取り除く「抜髄根管治療」、そして、感染が起こった根管を治療する「感染根管治療」は、いずれも歯の中を治療するので「歯内療法」とも呼ばれますが、これらは歯を残すにはもっとも重要な基礎治療となるものです。
通常、大臼歯の抜髄根管治療の場合、きちんと治療するとなると、1回の治療時間が最低でも60~90分必要になってきます。
しかし健康保険で治療を行う場合、治療にかけられる時間や治療に使う器具や設備、材料などに限界があるため、十分な治療が行えないのが現状です。
保険診療での根管治療は、大臼歯1本につき約7,000円で、3割負担なら約3,000円の負担額となります。
世界の根管治療費と比較してみましょう。

日本と海外、根管治療の料金比較

大臼歯1本の根管治療にかかる料金は、抜髄根管処置の場合、東南アジアのマレーシアでも約4万円、フィリピンでも約6万円です。
日本は健康保険診療10割で約7,000円です。これはマレーシアの6分の1です。
日本は先進国と呼ばれているにもかかわらず、歯を残すのに大切な根管治療に対する評価は、この程度のものです。
大臼歯の根管治療費
小臼歯の根管治療費
ちなみに日本における保険治療での根管治療の成功率は20%~30%前後と大変低いものです。一方、自費で丁寧に治療すれば96%の成功率があります。
それゆえ、保険で根管治療を行っている日本の大半の歯科医院では、患者様の多くが根管治療後に歯周病で歯ぐきが腫れたり、グラグラになったり、歯の先や歯の周囲から膿が出たり、痛いといったトラブルに悩まされてしまいます。

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