診療案内
インプラントインプラントを長持ちさせる条件

安定のための基本条件

セラミック治療
インプラントを入れるからには、長期的に安定するインプラントであることが重要です。
そのためには、インプラント手術の際に、インプラントと骨の結合「オッセオインテグレーション」が100%達成されることが条件となり、これがインプラント手術における最初で最大の目的だと言えます。
そのためには、抜歯をしてできた穴の表面が「皮質骨」という硬い骨で覆われ、そこにインプラントを正確に埋入することがとても重要になってきます。
セラミック治療
抜歯後すぐにインプラントを埋め込む「抜歯即時インプラント」や、手術をしたその日に仮歯を入れる方法がありますが、これらの方法は、オッセオインテグレーションの低下につながり、インプラントの長期安定にマイナスになることがあります。
もちろん、それをしたからといってインプラントがダメになる、ということではありません。ですが、その結果というのは7年以上の月日が経たないと、患者様にはわからないことなのです。
セラミック治療
基本的には抜歯後、骨が完全に治癒するのには約半年かかります。そして、完全に治癒した骨にインプラントを埋めることが、骨結合(オッセオインテグレーション)を100%達成させるために必要な条件となります。
セラミック治療
抜歯即時インプラントがダメということではありません。抜歯即時インプラントは、条件が整えばとても早く、良い治療ですが、なかなかその条件(エビデンス)に合うケースというのはそれほど多くはないのが現状です。
当院では、患者様のご希望(歯を早く入れたい、治療費を抑えたい、など)を尊重し、可能な限り実現させていただく方向で進めてまいります。
ですが、インプラントを20年、30年と、長期安定させることが最も重要ですので、そのためには、十分な条件が整うまで、骨の治癒期間を待つ場合もありますので、その点はご理解のほどよろしくお願いいたします。
セラミック治療

インプラントを長く安定させるための条件

エビデンスを守ったインプラント手術を行うこと
抜歯後6ヶ月待ってからインプラントを行う

抜歯後6ヶ月待ってからインプラントを行う

一番長持ちするインプラントというのは、抜歯した後、6ヶ月待って完全に骨が治ってから行った場合であることがわかっています。
そのため、当院では抜歯後6ヶ月待ってからインプラントの埋め込みを行うことをおすすめしています。
抜歯後6ヶ月待ってからインプラントを行う

抜歯即時インプラントは適応症をよく見極める

抜歯即時インプラントは、抜歯後の穴がインプラントの形態・直径に2ミリ以内での適合がある場合に適応症となります。しかし、この抜歯即時インプラントが適応となるには私の経験上、10%程度といったところです。特に、大臼歯部の抜歯即時インプラントには向いておらず、治療成績もよくないことがわかっています。
骨移植は体に負担がかかると知った上で行う

骨移植は体に負担がかかると知った上で行う

インプラント体と骨の間に2ミリ以上の距離があると、骨は完全にインプラント周囲をカバーしなくなるため、骨とインプラントとの結合が弱くなり、当然インプラントの寿命は短くなります。
ですが、インプラントの寿命が短くなるかどうかは、手術後にはわからず、7年~10年以上経たないとわかりません。
抜歯即時インプラントの際に、自分の骨を別場所から採取してインプラントと骨の隙間に埋める「自家骨移植」という方法もありますが、この方法は、他の場所の骨を削らなければならず、お体への負担が大きいことを知っておく必要があります。
当院では、インプラントを30年持たせることを目標とするためには、抜歯後半年待って、骨が十分に治ってから行うインプラント方法が、お体への負担が最小限で、かつ確実な方法であると考え、おすすめしております。(実際に30年持つかどうか、というのは、患者様の年齢や状況にもよっても違ってきます)
ただし、事情により、早く歯を入れたい、すぐに咬みたいというご希望をお持ちの方で、抜歯即時インプラントや、インプラント埋入即時加重(インプラント手術日に仮の歯が入る治療法)をご希望の場合には、お気軽にご相談ください。
歯茎を開いて行うインプラント手術が最も確実

歯茎を開いて行うインプラント手術が最も確実

歯茎を切開せずにインプラント手術を行う「ガイデッドサージェリー」は、当院でも長年多くの症例で行ってきましたが、実際、CT画像と実際の歯茎を開いてみた状況とでは異なる場合があります。
また、歯茎の厚みも場所によって異なりますし、ガイドとなるマウスピースのような装置も人の手によって製作されるため、誤差が出てしまい、結果的にインプラントの方向や埋め込む深さが予定と違ってくるリスクがあります。
そのため、最も正確で安全に手術を行うには、やはり、豊富な経験と技術を持った歯科医師が、歯茎を開いて、骨を露出させて行う通常のインプラント手術が最も確実です。
ですが、デジタル技術を使ったインプラント埋め込み手術は改良、進歩していますので、今後の進歩状況でどのような結果になっていくか、エビデンスを待ちたいと思います。
骨密度が低い場合は通常の手術方法で行う

骨密度が低い場合は通常の手術方法で行う

骨密度が低い場合、骨密度を高めるための手術がありますが、これはフラップレス手術(歯茎を開かないで行う手術)やPCガイドサジェリー(デジタル技術を使った手術)ではできず、通常の手術方法でなければできません。
骨密度が低い場合は通常の手術方法で行う

手術時間を可能な限り最小限にする

骨は硬いですが、デリケートな組織です。
手術時に骨が空気に露出している時間が長いと、骨がダメージを受け、インプラントの長期安定にも悪影響を及ぼします。そのため、インプラントを1本埋め込む時間は30分程度と、迅速に行うことが大事です。
噛み合わせの力をかけすぎないようにする

噛み合わせの力をかけすぎないようにする

インプラントにかかる力のコントロールも大事です。
インプラントに無理な力がかかると、いずれ、インプラント周囲の骨が失われ、脱落する原因になるからです。
そのためには、被せ物の材料の選択が重要となり、硬すぎないものを選ぶこと、具体的には、天然歯のエナメル質と同等の硬さを持つ、セラミック、ハイブリッドセラミック、金合金(白金加金や18K金合金)が向いていると言えるでしょう。
特に金合金は割れない、壊れないのに加え、噛み合わせの馴染みが良く、材質としても安定しており、とても優れています。ただし、色に関しては、金色なので、審美面には注意が必要です。
インプラントと噛み合う歯の金属が、硬い保険の金属である場合、インプラントに被せる素材と同じものに変更することも必要になってきます。
また、奥歯にインプラントを入れた場合、夜間に歯ぎしり防止のマウスピースを入れることは、インプラントに過剰な力がかからないようにするために欠かせません。
熟練した技術の高い歯科医師が手術を行う

熟練した技術の高い歯科医師が手術を行う

近年、インプラントのデジタル化が進んでいますが、デジタル化がベストなわけではなく、やはり、熟練したインプラント技術の高い歯科医師が行う手術にはかないません。
ただし、今後、長期的には新たなデジタル技術が進み、いずれ、精度に優れたインプラント手術が可能になるかもしれません。
インプラント治療終了後に骨とインプラントの結合を できるだけ長く保つには?
インプラントを無理のない本数で入れること

インプラントを無理のない本数で入れること

インプラント治療が終わった後に、骨とインプラントの結合「オッセオインテグレーション」ができるだけ長く保たれるためには、噛み合わせの力が全ての歯にバランス良く配分されていて、骨の厚み、密度の状態を診て無理のない本数で入れることが大事です。
たとえば、骨密度が低い高齢の女性においては、骨密度を上げながらインプラント本数を増やす、もしくは、骨の高さや幅があまりない場合には、その状態に適した本数で入れることが、長期的に安定するインプラントのために必要になってきます。
たしかに、少ない本数で入れれば治療費は安くなります。ですが、無理な本数で入れてしまうと、その時は安く済んだとしても、結局長持ちしないので、結果的には高くつくことになってしまいます。
上顎オールオン4の現状
無理に少ない本数で行うインプラント治療の例としては、たとえば上顎でのオールオン4手術が挙げられます。
上顎でのオールオン4は米国では一切行われていませんし、私がインプラントを勉強した米国ハーバード大学歯学部では、上顎では最低8本、下顎では6本が世界の500症例の分析で一番長期間持つとの結論が出ています。
このように、上顎は8本、下顎では6本が長期で安定するインプラントの最低本数です。
下顎は、オールオン4でも骨密度に問題がないなら大丈夫です。上顎は骨密度が下顎の半分ぐらいなので、オールオン4には適していません。
インプラント以外の歯や被せ物を良い状態にしておくこと

インプラント以外の歯や被せ物を良い状態にしておくこと

インプラント以外の歯の状態も良くしておくことも大切です。具体的には、むし歯や歯周病は治療し、古い被せ物やブリッジなども治療して噛み合わせも良い状態にしておく必要があります。
定期検診とクリーニングを欠かさないこと

定期検診とクリーニングを欠かさないこと

インプラントも、天然歯と同様、お手入れを怠ると周囲に細菌感染を起こし、それが原因でインプラントが抜け落ちる原因となります。そのため、インプラントと残存歯の定期検診とクリーニングは欠かさないことが大事です。
歯を保護するマウスピースを入れること

歯を保護するマウスピースを入れること

インプラント治療を奥歯に2本以上行った場合、歯ぎしりの強い力からインプラントを守るために、睡眠中にマウスピースを装着することが大事です。
噛み合う歯の被せ物がインプラントの被せ物と同じであること

噛み合う歯の被せ物がインプラントの被せ物と同じであること

インプラントを長持ちさせるためには、インプラント周囲炎を防ぐことが不可欠です。
そのためには、インプラント周囲の感染防止と同時に、インプラントにかかる力のコントロールが大事になってきます。
インプラントに過度の力がかからないようにするためには、噛み合う歯の硬さがインプラントの被せ物と同じで、かつ、天然歯の硬さに近いことが全体の噛み合わせバランスを考えても理想的です。
歯並び・噛み合わせの高さを整えておくこと

歯並び・噛み合わせの高さを整えておくこと

歯並びや噛み合わせも大切です。
歯を失ったまま放置すると、歯並びや噛み合わせが乱れてしまいますが、そのままでインプラントやブリッジを入れてしまった場合、噛み合わせの力が特定の歯に集中し、その不均衡を避けようと脳が指令して噛む筋肉に負担がかかり、顎関節症(口を開けると痛い、顎関節から雑音がする、口が開きづらい、など)を起こすことがあります。
そのため、インプラントを入れる前には、歯並びや噛み合わせを修正しておく必要があります。

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医療社団法人 角理会 アルカディアグループサイト